人工(にんく)の請求書は、職人さんを1日出したら「1人工」と数え、人工 × 単価で金額を出す請求書です。請負のように「工事一式」で請求するのではなく、出した日数で請求するので、明細の書き方がそのまま元請側の確認のしやすさに直結します。

この記事では、人工の請求書に書く項目と、明細・残業代の書き方、インボイス(適格請求書)として出すときの注意点を説明します。

請求書に書く項目

人工の請求書に書く項目は、大きく分けて「誰から誰へ」「何を」「いくら」「どこに払うか」の4つです。

区分 項目
誰から誰へ 宛先(元請の会社名)、自社の名前・住所・連絡先、登録番号
いつの分か 請求日、請求番号、対象期間(例: 10月1日〜10月31日)
何を 明細(日付・現場名・職種・数量・単位・単価・金額)
いくら 税率ごとの合計(税抜)、適用税率、消費税額、合計(税込)
どこに払うか 振込先、支払期限

件名は「2026年10月分 常用工事代」のように、いつの分の何の請求かが分かる書き方にします。

インボイス(適格請求書)の記載事項

インボイス発行事業者として登録している場合、請求書を適格請求書として出すには、国税庁が示す次の6つの記載事項が必要です。

  1. インボイスの交付先である相手方の氏名または名称
  2. 売手(自社)の氏名または名称及び登録番号
  3. 取引年月日
  4. 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
  5. 10%・8%それぞれの対象となる対価の総額及び適用税率
  6. 10%・8%それぞれの消費税額等

出典: 国税庁「適格請求書等保存方式の概要」(2026年10月2日に確認)

人工の請求書に当てはめると、次のようになります。

記載事項 人工の請求書での書き方
1. 交付先の名称 宛先(〇〇建設株式会社 御中)
2. 自社の名称と登録番号 発行者の欄に会社名(屋号)と、T から始まる登録番号
3. 取引年月日 明細の日付。まとめて請求する場合は対象期間も書く
4. 取引内容 明細の現場名・職種(例: △△邸新築 大工)
5. 税率ごとの合計と税率 「10%対象 合計(税抜)」と「適用税率 10%」
6. 税率ごとの消費税額 「消費税額(10%)」

人工代は通常10%の取引なので、5と6は10%の行だけになります。登録番号は、インボイス発行事業者の登録後に税務署から通知される番号です。

明細の書き方

明細は1行に「日付・現場名・職種・数量・単位・単価・金額」を書きます。日ごとに1行にするか、月の合計で1行にするかは元請の求めに合わせます。迷ったら、元請が出面帳と照らし合わせやすい日ごと・現場ごとにしておくと、問い合わせが減ります。

記入例(日ごとに書く場合)

日付 現場名 職種 数量 単位 単価 金額
10/1 △△邸新築 大工 2 人工 25,000 50,000
10/1 △△邸新築 手元 1 人工 18,000 18,000
10/2 △△邸新築 大工 1.5 人工 25,000 37,500
10/2 △△邸新築 大工(残業) 2 時間 3,500 7,000
  • 人数は数量に入れる: 大工2人が1日出たら、数量 2(人工)です
  • 半日は 0.5: 1人が半日なら 0.5、大工1人が1日と、もう1人が半日なら 1.5 です
  • 職種で単価が違うなら行を分ける: 大工と手元を1行にまとめると、単価が書けません

残業代の書き方

残業代は人工の行に混ぜず、単位を「時間」にした別の行にします。数量に残業時間、単価に1時間あたりの残業単価を入れます。

残業単価をいくらにするか、何時から残業として数えるかは、元請との取り決めによります。上の例の 3,500円も例です。請求の前に、取り決めた単価と数え方を確認しておきましょう。

交通費・駐車場代などを入れる場合

人工代とは別の行にして、何の費用かが分かるように書きます。人工代に含める約束なのか、別に請求できるのかは元請との取り決めによります。

消費税の計算と端数処理

消費税は、明細の行ごとではなく、請求書1枚の税抜合計に税率をかけて1回だけ計算します。国税庁のQ&Aでは、適格請求書の消費税額の端数処理について次のように示されています。

適格請求書の記載事項である消費税額等に1円未満の端数が生じる場合は、一の適格請求書につき、税率ごとに1回の端数処理を行う必要があります(消令70の10、基通1-8-15)。

なお、切上げ、切捨て、四捨五入などの端数処理の方法については、任意の方法とすることができます。

出典: 国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 問57」(令和6年4月改訂。2026年10月2日に確認)

同じQ&Aでは、明細の行ごとに消費税を計算して端数処理し、それを合計して消費税額とすることは認められないとされています。Excelで請求書を作るときは、各行に消費税の列を作らず、合計欄で1回だけ計算する式にしてください。

よくある間違い

  • 元請ごとに分けずに1枚にまとめる: 請求書は元請ごとに作ります。同じ元請でも、締め日や支払条件が違う取引は元請の求めに合わせて分けます
  • 対象期間と明細の日付がずれる: 20日締めの元請に、末日までの出面を入れてしまう、など。締め日で区切ってから明細を作ります
  • 宛先・現場名の表記が元請の登録と違う: 元請側で照合できず、確認の連絡が来ます。元請が使っている正式な名称に合わせます
  • 行ごとに消費税を出して足す: 上の端数処理のとおり、合計で1回だけ計算します

テンプレートで作る

WanBaseの常用(人工)請求書テンプレートは、この記事の項目に合わせて作ったExcelのテンプレートです(無料・登録不要)。日付・現場名・職種・数量・単位・単価を入れると、金額・消費税・合計を自動で計算します。消費税の端数処理は、切り捨て・四捨五入・切り上げから選べます。

明細のもとになる人工の集計には出面表テンプレートが使えます。出面の記録から請求書を出すまでの流れは、出面から常用請求書を作る手順にまとめています。

元請が増えて請求書を毎月何枚も作るようになったら、WanBaseで人工を単価つきの明細として入力すれば、金額・消費税・合計の計算、書類番号の採番、入金の記録までを1か所で扱えます。

この記事は、人工の請求書の一般的な書き方を説明したものです。源泉徴収の要否など、取引の内容によって扱いが変わる事項は取り上げていません。税務の取り扱いに迷う場合は、税理士または税務署にご確認ください。