常用(じょうよう)で職人さんを出した分の請求は、毎日の出面(でづら)がそのまま請求書の明細になる仕事です。月末に慌てる原因のほとんどは、請求書を作る段階ではなく、その手前の「出面の記録」と「元請ごとの締め」にあります。

この記事では、出面の記録から常用請求書を元請へ出すまでを、5つの手順に分けて説明します。

全体の流れ

手順 やること タイミング
1 出面を記録する(誰が・いつ・どの現場で・何人工) 毎日
2 元請ごとの締め日で区切って集計する 締め日
3 元請・職長の記録と突き合わせる 締め日〜請求までに
4 元請ごとに常用請求書を作る 締め日の翌日〜数日
5 送付して、入金を確かめる 支払日

手順1: 出面を記録する

出面は「1日・1人・1現場」で1行にして記録します。後で元請別・現場別に集計するとき、この形になっていないと分け直す手間がかかります。

1行に入れる項目は次のとおりです。

  • 日付
  • 現場名
  • 元請名
  • 職人さんの名前(と職種)
  • 人工(1日なら 1、半日なら 0.5)
  • 残業した時間(あれば)

つまずきやすいのは次の3つです。

  • 同じ日に2つの現場へ行った: 現場ごとに1行ずつ分けます(午前の現場 0.5、午後の現場 0.5 など)。1行にまとめると、どちらの元請に請求するのか分からなくなります。
  • 元請・現場の書き方が揺れる: 「〇〇建設」「〇〇建設㈱」「〇〇」が混ざると、集計で別の会社として数えられます。表記は最初に決めて、一覧から選ぶ形にしておくと防げます。
  • 月末にまとめて書く: 記憶で書くと、半日・残業・応援の分が抜けます。その日のうちに、遅くとも週に1回は記録します。

手順2: 元請ごとの締め日で区切って集計する

元請によって締め日が違うことがよくあります(末締め、20日締め など)。請求書は元請ごとに作るので、集計も元請ごとに、その元請の締め日で区切って行います。

集計するのは、元請ごとの次の数字です。

  • 職人さん(職種)ごとの人工の合計
  • 残業時間の合計
  • 現場ごとの内訳(請求書の明細を現場別に書く場合)

20日締めの元請が1社だけあるなら、その元請の分だけ「前月21日〜当月20日」で区切って数えます。月の途中で締める元請があると、1か月分の出面を2回に分けて数えることになるので、集計の前に「どの元請を、いつからいつまでで締めるか」を一覧にしておくと迷いません。

手順3: 元請・職長の記録と突き合わせる

請求書を出す前に、集計した人工を元請側の記録と合わせておきます。元請の職長や現場担当者が付けている出面帳、作業日報、入場記録などです。

ここで食い違いが見つかれば、請求書を出す前に直せます。請求書を出した後に「この日は出ていないはず」と言われると、請求書の作り直しと再送が必要になり、入金も遅れます。

突き合わせで確認したいのは次の点です。

  • 日数(人工)が合っているか。特に半日の扱い
  • 残業時間が合っているか
  • 応援で別の現場に回った日の扱い

手順4: 元請ごとに常用請求書を作る

集計した人工を、元請ごとの請求書に転記します。明細は「日付・現場・職種・数量(人工)・単位・単価・金額」の形にすると、元請側でも確認しやすくなります。

計算例

〇〇建設(末締め)へ、10月分を請求する例です。単価は例で、実際は元請との取り決めによります。

現場 職種 数量 単位 単価 金額
△△邸新築 大工 18 人工 25,000 450,000
△△邸新築 手元 10 人工 18,000 180,000
△△邸新築 大工(残業) 6 時間 3,500 21,000
10%対象 合計(税抜) 651,000
消費税額(10%) 65,100
合計(税込) 716,100

残業代は人工の行に混ぜず、単位を「時間」にした別の行にすると、元請側も確かめやすくなります。残業単価の決め方は元請との取り決めです。

消費税の端数は「請求書1枚につき、税率ごとに1回」

インボイス(適格請求書)として請求書を出す場合、消費税額の1円未満の端数処理は、明細の行ごとではなく請求書1枚につき、税率ごとに1回行います。国税庁のQ&Aには次のように書かれています。

適格請求書の記載事項である消費税額等に1円未満の端数が生じる場合は、一の適格請求書につき、税率ごとに1回の端数処理を行う必要があります(消令70の10、基通1-8-15)。

なお、切上げ、切捨て、四捨五入などの端数処理の方法については、任意の方法とすることができます。

(注) 一の適格請求書に記載されている個々の商品ごとに消費税額等を計算し、1円未満の端数処理を行い、その合計額を消費税額等として記載することは認められません。

出典: 国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 問57」(令和6年4月改訂。2026年10月2日に確認)

たとえば10%対象の税抜合計が 123,456円なら、消費税は 12,345.6円です。切り捨てなら 12,345円、四捨五入なら 12,346円になります。行ごとに消費税を出して足し合わせる作り方は認められないので、Excelで作る場合は計算式に注意してください。

請求書に書く項目(登録番号・取引年月日・税率ごとの合計など)は、人工の請求書の書き方で詳しく説明しています。

手順5: 送付して、入金を確かめる

元請の指定する方法(郵送・メール・元請のシステムへの登録など)で送り、送った日を控えておきます。支払日が来たら、請求額どおりに入金されたかを確かめます。

入金額が合わないときは、振込手数料の差し引き、相殺(立替分・協力会費など)、出面の食い違いのどれかであることが多いです。どれに当たるかを元請に確かめ、次の月の請求で同じことが起きないようにしておきます。

Excelで進める場合

WanBaseでは、この流れに合わせたExcelテンプレートを無料で配布しています(登録不要)。

  1. 出面表テンプレートの「出面入力」に、毎日の出面を1行ずつ入れます(手順1)
  2. 「元請別集計」で、元請ごとの人工・残業時間・金額を確かめます(手順2)。集計は1日〜末日の1か月単位です。20日締めの元請は、出面入力の日付で絞り込んで数えてください
  3. 常用(人工)請求書テンプレートに転記して、元請ごとの請求書を作ります(手順4)。消費税は請求書1枚の税抜合計から1回だけ計算する式になっています

現場ごとの原価や粗利まで見たい場合は、工事台帳テンプレートも使えます。

元請や現場が増えてきたら

元請が3社、4社と増えると、締め日ごとの集計、表記ゆれの確認、請求書への転記を毎月くり返すことになります。転記のたびに入力ミスの機会も増えます。

WanBaseでは、職人さんごと・現場ごとの人工を単価つきの明細として請求書に入れれば、金額・消費税・合計まで自動で計算します。書類番号は自動で採番され、見積書はワンクリックで請求書にでき、請求書から納品書・領収書も作れます。どの元請に何を出し、どれが入金済みかも一覧で残ります。

Excelのままで回るうちはExcelで十分です。月末の作業が追いつかなくなってきたら、Excel管理の限界チェックリストで今の状況を確かめてみてください。

この記事は、建設業の常用請求の一般的な進め方を説明したものです。税務の取り扱いに迷う場合は、税理士または税務署にご確認ください。